ホームページはあります。ブログも毎月更新しています。それでも問い合わせが増えない——そういう法律事務所ほど、原因が記事の本数や事務所の実力にないことがあります。相談者がAIに質問した瞬間に、貴事務所の名前が候補として挙がっていない。実際に起きているのは、それだけというケースがあります。このページは、法律事務所・税理士事務所・司法書士事務所のサイト運用にたずさわる方に向けて、AIに引用される事務所サイトの条件を、弊社が2026年7月に3つのAIで実際に調べた結果とあわせて一本にまとめた実務ガイドです。
目次
相談者は、もう検索結果の一覧を見ていません
結論からお伝えします。事務所サイトの集客で起きている変化は「順位が下がったこと」ではなく、順位を取っても人が来なくなったことです。
検索1位のクリック率が、AI Overviewの登場で約58%減少
SEO分析ツールを提供するAhrefs社が、30万キーワード(AI Overviewが表示される15万+表示されない15万)を対象に、2023年12月と2025年12月を比較した調査結果です。AI Overviewが出ないキーワードを対照群として自然な減少分を差し引いてもなお、約58%の押し下げが確認されています。
出典:Ahrefs「AI Overviews Reduce Clicks by 58%」(2025年12月)
ここで先に、言葉を1つだけ押さえておきます。AI Overview(AIオーバービュー)とは、Google検索の結果ページのいちばん上に出る、AIが書いた要約回答の枠のことです。これまでは「10本のリンクの一覧」がまず表示されていましたが、いまはその上に答えそのものが置かれています。相談者は要約を読んで納得すると、その下のリンクをクリックしません。
この変化は、士業にとって二重に痛い形で効きます。ひとつは、上位表示の見返りが減ること。もうひとつは、相談者がそもそもGoogleではなくChatGPTに直接聞き始めていることです。検索は何十件も一覧で見せてくれますが、AIは多くても数件しか事務所名を挙げません。その数件に入らなければ、相談者から見れば存在しないのと同じ扱いになります。
競合は毎年増え、椅子の数は減っている
この変化が起きているのは、士業がすでに供給過多の局面にある時期と重なります。
弁護士人口は、20年で約2.2倍になりました
2005年3月31日時点で21,185人だった弁護士数は、2025年3月31日時点で46,243人になっています。
出典:日本弁護士連合会『弁護士白書 2025年版』資料1-1-2「弁護士数(1950年〜2025年)」
競合は倍増し、相談者に提示される選択肢の枠は数件に絞られる。「良い仕事をしていればいずれ知られる」という前提が、いま構造的に成り立ちにくくなっています。
AIに聞いてみた結果:9通りの回答に出てきた事務所は17件でした
ここからは、弊社が実際に手を動かして調べた結果をお出しします。他社の調査の引用ではなく、弊社自身の調査です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 実施時期 | 2026年7月 |
| 使用したAI | ChatGPT/Gemini/Perplexity の3種類 |
| 質問 | 「福岡で遺産分割にもめています。相続に強い、信頼できる弁護士事務所を教えてください」ほか、聞き方を変えた3パターン |
| 回答数 | 3AI × 3質問=合計9通り |
その結果が、次の数字です。
この結果から読み取れることは、率直に言って希望的です。「AI検索でもう大手事務所に押さえられてしまっている」という状況には、まだなっていません。3つのAIすべてに名前が挙がる事務所は2件しかなく、残りは1つか2つのAIにしか拾われていない。つまり、いま整えれば入り込める余地が明確に残っています。
裏を返せば、この2件と17件の差は「事務所の実力の差」ではなく、AIが読み取れる形で情報が置かれているかどうかの差である可能性が高いということです。調査の詳細な手順と、実際に出てきた回答の内容は次の記事にまとめています。
調査の全文はこちら
- 「福岡 遺産分割 弁護士」とAIに聞くと、どの事務所が出てくるのか調べてみた|3つのAIへの質問文・回答・登場事務所の集計を公開しています
- 相続でもめた人がAIに聞く「質問トップ5」と、いま事務所が準備すべきこと
なお、AIの回答は同じ質問でも実行のたびに変わります。この調査結果も特定時点のスナップショットであり、順位表のように固定的なものではない点は正直に申し添えます。
なぜ従来のSEO対策だけでは足りないのか
「SEO業者に頼んでいるから大丈夫では」というご質問をよくいただきます。答えは、SEOは必要ですが、それだけでは足りないです。理由は、AIが答えを作る手順にあります。
ChatGPTなどのAIは、いつも自分の記憶だけで答えているわけではありません。事務所名や地域の情報を聞かれると、その場でWebを検索し、見つけたページを読んで、要約して答えます。この「調べてから答える」やり方をRAG(ラグ/検索拡張生成)と呼びます。手順は、おおまかに次の3段階です。
ここに、SEOとAIOの分かれ目があります。SEOが効くのは2段階目までです。検索で上位に入れば候補には残ります。しかし3段階目、つまり「読んで、そのまま抜き出せる形になっているか」は、順位とは別の条件です。
何位に入るかを競う
検索結果の一覧で、できるだけ上に表示されることを目指します。5位か3位か、という連続的な勝負です。
選ばれるか、選ばれないか
AIの回答文に引用・言及されることを目指します。載るか載らないかの、不連続な勝負です。中間はありません。
大切なのは、AIOはSEOを置き換えるものではないという点です。AIが参照先を探す土台には検索インデックス(検索エンジンがページを保存・整理したデータベース)が使われています。検索に拾われていないページは、AIにも拾われません。SEOという土台の上に、AIが読める形の整備を積み上げる——これが実態に近い理解です。
前提をもう少し詳しく
- AIO・LLMO・GEOとは?「AIにすすめられる会社」になるための基礎知識【やさしく解説】|用語の違いだけを整理した入門記事です
- SEO(検索対策)とAIO(AI検索対策)は何が違う?いま「両方」が必要な理由
- 検索1位でもクリックが58%減る時代に、AIに選ばれる会社になる方法【AIO対策 完全ガイド】|業種を問わない技術面の全体像はこちらにまとめています
AIに引用される事務所ページの4条件
ここからが本題です。士業サイトで実際に差がつくのは、次の4点でした。技術的に難しい話は最小限にとどめ、記事を書く人がそのまま実行できる形で挙げます。
4-1. 数字を書き切る(期限・金額・人数)
いちばん効くのがここです。AIは、答えとして抜き出せる断定的な情報を探しています。「ケースによります」で終わる文章は、抜き出す単位が作れないため引用されにくくなります。
「相続税の申告には期限があります」
期限があること自体は正しいのですが、AIから見ると「何か月か」という肝心の値がありません。この文だけでは回答に使えず、数字を書いている別の記事が引用されます。
「相続税の申告期限は、被相続人の死亡を知った日の翌日から10か月以内です」
数値(10か月)と起算日(死亡を知った日の翌日)がそろっています。この1文だけで回答が成立するため、そのまま引用できる単位になります。
期限・金額・面積・人数——数字で言い切れる箇所は、士業の分野には数え切れないほどあります。逆に言えば、その数字を書かずに一般論でまとめている記事は、どれだけ丁寧に書かれていても引用の土俵に上がりません。
4-2. 根拠となる条文・出典を明示する
2つ目は、その数字の出どころです。AIは答えに使う情報の確からしさを判断しようとします。条文番号や公的機関の資料名が添えられている記述は、根拠のない記述より優先されやすくなります。
ここでE-E-A-Tという考え方に触れておきます。Googleが検索品質の評価基準として示している、Experience(経験)・Expertise(専門性)・Authoritativeness(権威性)・Trustworthiness(信頼性)の頭文字をとった言葉で、「この情報は誰の、どんな裏づけによるものか」を測る物差しだとお考えください。士業サイトは本来この点でもっとも有利なはずですが、条文番号も出典リンクも書かれていない記事は、その優位を自分から手放していることになります。
4-3. 相談者が打ち込む言葉を、そのまま見出しにする
3つ目は見出しです。前述のとおり、AIは質問を小さな問い(サブクエリ)に分解して探します。その問いと同じ形の見出しがあるページは、対応関係が明快なぶん抜き出されやすくなります。
見出し「当事務所の相続業務について」
事務所目線の名詞句です。AIは「これは何の問いへの答えか」を判定できず、抜き出す単位を作れません。
見出し「相続の相談は初回いくらかかりますか?」
相談者が実際に打ち込む言葉をそのまま見出しにし、直後の1文で「初回60分は無料です」と答え切ります。1つの見出しに1つの答えだけを置くのが原則です。
なお、見出しを疑問形にするだけでは足りません。疑問形の直後に、そのまま切り出せる答えが1文で置かれていることまでがセットです。
4-4. 書いた弁護士・税理士が誰なのかを、機械が読める形で置く
4つ目は著者情報です。「弁護士法人〇〇」という事務所名だけでは、AIは「誰が書いたか」を判定できません。氏名・登録番号・所属会・取扱分野・経歴を、記事ページ上に文字で置きます。
あわせて有効なのが構造化データ(スキーマ)です。ページの内容を、人間向けの文章とは別に、機械が読む決まった書式で書き添えるものだとお考えください。事務所の看板に加えて「業種・住所・営業時間」を規格どおりの様式で貼っておくイメージです。ここは制作会社に依頼する領域になりますが、依頼すべき項目を知っているかどうかで結果が変わります。
4条件の技術的な詳細
分野別・書き方の実例集(相続分野32本)
4条件は、実際のテーマに当てはめてはじめて手が動きます。弊社では相続分野を題材に、テーマごとに「よくある事務所記事の書き方」と「AIに引用されやすい書き方」を比較した解説記事を32本公開しています。貴事務所で扱っているテーマから読み進めてください。
手続き・期限の書き方
期限や起算日を書き切れているかを扱った記事
遺言書まわりの書き方
条文番号と要件の書き分けを扱った記事
相続人・取り分の書き方
「誰が」「どこまで」を書き分けられているかを扱った記事
相続税・税務の書き方
金額・面積・年数を言い切れているかを扱った記事
- 相続税の申告期限「10か月」、起算日まで書かないと記事はAIに引用されません
- 相続税の基礎控除の記事、「放棄した人」の数え方まで正確ですか?
- 相続税記事に「名義預金」がないと、AIから見落とされます
- 生命保険金の非課税枠は、書き方ひとつでAIに引用されるかどうかが変わります
- 小規模宅地の特例の記事、「330㎡」まで書けていますか?
- 配偶者の相続税「0円」——多くの事務所記事が書き忘れている一文を、AIは見ています
- 生前贈与加算、「7年に延長されました」と書くだけで、その記事は大丈夫ですか?
- 相続時精算課税の110万円、暦年課税と混同した記事はAIに誤解されます
- 相続人3人なら2,000万円|空き家控除の記事に足りない一行
事務所そのものの見せ方
費用・選ばれ方・分野の打ち出しを扱った記事
相続以外の分野(離婚・労働・交通事故など)も、当てはめる型は同じです。数字を書き切る/根拠を示す/問いの形の見出しにする/書き手を明示する——この4つを、貴事務所の取扱分野に置き換えてご覧ください。
自事務所でできる10項目チェックリスト
ここまでの内容を、そのまま点検項目に落としました。専門知識がなくても、事務局の方がご自身で確認できる粒度にしています。
時間がなければ、最初の1つだけで十分です
10項目は多いと感じられるかもしれません。まず1番だけ試してください。「出てこなかった」という結果そのものが、いちばん動かしやすい材料になります。
- ChatGPTに「(地域名)で(取扱分野)に強い事務所は?」と聞いて、貴事務所の名前が出ますか。出なければ、どの事務所が出たかも控えておきます(実際に調べた例)
- 同じ質問を、GeminiとPerplexityでも試しましたか。弊社調査では、3つすべてに出た事務所は17件中2件だけでした。1つで出なくても、他で出ている場合があります
- 費用のページに、金額が数字で書かれていますか。「事案によります」だけで終わっていないかを確認します(費用ページの書き方)
- 手続きの期限を、起算日まで書いていますか。「3か月以内」ではなく「相続の開始を知った時から3か月以内」まで書き切ります(起算日の書き方)
- 解説記事に、根拠となる条文番号・公的資料へのリンクがありますか(条文番号の効き方)
- 見出しが、相談者が打ち込む言葉の形になっていますか(見出し設計の型)
- 記事に、担当した弁護士・税理士の氏名と経歴が載っていますか(著者情報の書き方)
- 料金表や比較表が、画像ではなく文字で書かれていますか。画像に入れた数字は、AIには読めません(画像に閉じ込めた情報の扱い)
- 事務所名・住所・電話番号の表記が、サイト・地図サービス・掲載先ですべて揃っていますか(表記ゆれの影響)
- robots.txtで、AIのプログラムを一括拒否していませんか。制作会社の初期設定のまま止めている例が実際にあります(確認方法)
1〜2番は今すぐ、5分でできます。3〜8番は記事を書く方の作業、9〜10番は制作会社への確認事項です。順番に意味があるのは最初の2つだけで、あとはできるところから構いません。
よくある質問
A. 本数や文字数と、引用のされやすさは比例しません。効くのは、1つの見出しに1つの答えを置き、数字と根拠で言い切ることです。詳しくは記事を長くしても、AIの引用率はほとんど変わりませんでしたをご覧ください。
A. ポータル経由でAIに拾われることはありますが、その場合に前面に出るのはポータル名です。事務所名で指名されるには、自事務所のサイトにAIが読める形の情報があることが前提になります。両方を進めるのが現実的です。
A. 「必ず」とは言えません。AIの回答は同じ質問でも実行のたびに変わり、表示を保証できるものではありません。できるのは、選ばれやすい状態に近づけることです。保証をうたう業者にはご注意ください。
A. 外注でも構いませんが、著者として氏名・経歴を出すのは有資格者にしてください。誰が書いたかを示せない記事は、E-E-A-Tの観点で不利になります。監修者として名前と経歴を明記する形も有効です。
A. あります。AIは事務所の規模よりも、情報が整理され、機械が読める形になっているかを見ています。弊社調査でも、3つのAIすべてに出た事務所は17件中2件のみでした。取り組んでいる事務所がまだ少ないぶん、先に整えた側が有利になりやすい局面です。
A. サイトの整備状況によって幅があります。即効性のある施策ではなく、読める状態を整え、外部からの言及を増やすほど、徐々に選ばれやすくなっていく性質のものです。
本記事は、法律事務所・税理士事務所・司法書士事務所のサイト運用者の方に向けて、AIに引用される記事の書き方をAIO/LLMOの観点から解説するものです。個別の法律相談・法的助言・税務相談を提供するものではありません。本文中で触れている制度・数値は、記事の書き方を説明するための題材であり、個別の事案への当てはめは各分野の有資格者にご確認ください。
まとめと相談窓口
要点は3つです。①検索1位のクリックが約58%減り、上位表示の見返り自体が縮んでいる。②弊社が3つのAIに聞いた9通りの回答で、3AIすべてに登場した事務所は17件中2件だけだった。③その差は実力ではなく、AIが読める形で情報が置かれているかどうかで決まっている可能性が高い。
そして最初の一歩は、驚くほど簡単です。貴事務所の地域と取扱分野で、AIに「おすすめの事務所は?」と聞いてみてください。名前が出てこなければ、それは事務所の評価の問題ではなく、情報がAIに届いていないだけかもしれません。
貴事務所のサイトがAIにどう読まれているか、無料で診断します
実際に主要AIへ質問し、貴事務所が出るか・どの事務所が出ているか・原因はどこかをレポートでお返しします。株式会社THE WORLDは福岡・天神を拠点に、AIO/LLMO対策とAI導入支援をご支援しています。



