「遺産分割調停について説明しているのに、なぜかAIには拾われない」——法律事務所のページでよく起きる現象です。この記事では、実際にありがちな4つの解説パターンを取り上げ、”説明はしているが答えになっていない”書き方の共通点を見ていきます。

結論:手続きを”説明”しているだけでは、AIの答えにならない

「遺産分割調停について」というページを開くと、制度の説明自体は正確に書かれていることがほとんどです。しかし、読者が実際に知りたい「誰が」「いつ」「いくらで」という具体的な答えが、説明の中に埋もれてしまっているケースが目立ちます。以下、よくある4つの落とし穴を実例で見ていきます。※以下の例は特定の実在事務所を指すものではなく、法律系サイトで一般的に見られる傾向を一般化したものです。

落とし穴①:手続きの定義

Before(よくある書き方)

遺産分割調停について

遺産分割調停とは、家事事件手続法に基づく家事調停の一種であり、相続人間で遺産の分割方法について話し合いがまとまらない場合に、家庭裁判所において調停委員会の仲介のもとで話し合いを行う手続きです。当事者の合意による解決を目指す点に特徴があります。

After(AIに引用されやすい書き方)

遺産分割調停とは何か?

遺産分割調停とは、相続人同士で遺産の分け方が決まらないときに、家庭裁判所を介して合意を目指す手続きです。裁判官と調停委員が双方の事情を聴き、必要に応じて遺産の鑑定も行いながら話し合いを進めます。

何が違うか:Beforeは見出しが名詞(「〜について」)で、本文も「〜法に基づく〜の一種であり」と制度上の位置づけから入っている。Afterは見出しを疑問形にし、本文の最初の1文で結論(=定義そのもの)を言い切ってから補足している。

落とし穴②:申立て先・申立人

Before

申立てについて

遺産分割調停の申立ては、家庭裁判所に対して行うことになります。申立てをすることができる者や、申立先となる裁判所については、家事事件手続法等の規定を確認する必要があります。

After

誰が、どこに申し立てるのか?

申立てができるのは、共同相続人・包括受遺者・相続分譲受人です。申立先は、相手方のうちの一人の住所地を管轄する家庭裁判所、または当事者が合意で定めた家庭裁判所になります。

何が違うか:Beforeは「確認する必要がある」で終わっており、実際の答え(誰が・どこに)が書かれていない。AIは「答えが書かれていない」ページを回答の根拠として使えない。Afterは疑問の答えそのものを本文に明記している。

落とし穴③:費用

Before

費用について

遺産分割調停の申立てには、収入印紙や郵便切手等の実費が必要となります。詳細は申立先の裁判所にお問い合わせください。

After

申立てにかかる実費はいくらか?

収入印紙1,200円(被相続人1人につき)+郵便切手代で、総額1万円前後が目安です。郵便切手の金額は家庭裁判所ごとに異なります。

何が違うか:Beforeは「お問い合わせください」で疑問を裁判所に丸投げしている。金額の目安すら書かれていないため、AIは費用感を回答に含められない。Afterは具体的な金額を出典つきで明示している。

落とし穴④:不成立になったらどうなるか

Before

調停が成立しない場合

当事者間で合意に至らず調停が不成立となった場合には、その後の手続きについて別途検討する必要があります。

After

合意できなかったらどうなるのか?

調停が不成立になった場合は、自動的に審判手続が開始され、裁判官が審判を行います。あらためて別の手続きを申し立てる必要はありません。

何が違うか:Beforeは「別途検討する必要がある」と、最も聞きたいはずの”次に何が起きるか”を書かないまま終えている。Afterは次に起きる具体的な事実(自動的に審判へ移行)まで書き切っている。

AIが見出し直後の一文をチェックする理由

AIは見出し直後の40〜60文字に「結論」があるかどうかを重視して、回答の根拠として引用するかを判断します。上記4つの落とし穴はいずれも、専門家同士が読む前提としては自然な文章ですが、「疑問に対する直接の答え」という形になっていません。これは弊社が検証してきたLLMO対策の見出し設計4原則(疑問形見出し・サブクエリ対応・1見出し1トピック・アンサーファースト)に照らすと分かりやすく説明できます。

自社ページの「引用されやすさ」を確認する4つの視点

1見出しを声に出して読む「〇〇について」のような名詞で終わっていないか確認する
2見出し直後の1文だけを読むそこに結論・数字が入っているか、それとも前置きから始まっていないか確認する
3「お問い合わせください」で終わっていないか目安だけでも数字を出せないか検討する
4「その後どうなるか」まで書けているか手続きの次のステップまで書くと、関連する疑問にも対応できる

よくある質問(FAQ)

Q. Before例は、実在する事務所のサイトの文章ですか?

A. いいえ。特定の実在事務所を指すものではなく、法律系サイトで一般的に見られる書き方の傾向を一般化した例です。

Q. 見出しを疑問形にするだけで、本当にAIに引用されやすくなりますか?

A. 「必ず」とは言えません。AIの回答は日々変化するため保証はできませんが、疑問形見出し・アンサーファーストは弊社が検証してきたLLMO対策の基本原則であり、引用されやすい状態に近づく取り組みです。

Q. 既存のページを全部書き直す必要がありますか?

A. 一度に全部でなくても構いません。アクセスの多いページ、問い合わせにつながりやすいページから優先的に見直すのが現実的です。

まとめ:説明を”答え”に変えるだけで見え方は変わる

手続きの内容そのものを変える必要はありません。見出しを疑問形にし、直後で結論・数字を即答するように書き換えるだけで、同じ情報がAIにとって”引用しやすい情報”に変わります。

株式会社THE WORLDは、福岡を拠点に、法律事務所が「AIにすすめられる事務所」になるための対策(AIO/LLMO)をご支援しています。既存ページの診断・書き換えにご興味があれば、お気軽にお問い合わせください。

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株式会社THE WORLD のAIO/LLMOチームマネージャー。福岡・天神を拠点に、AIO/LLMO対策やAI導入支援の現場で企業のAI活用を支援。生成AI時代に「選ばれ続ける」ための実践知を発信しています。