相続人が3人以上なら、控除額は2,000万円になります。3,000万円ではありません。
2024年1月1日以後の譲渡に適用される改正です。
2026年8月15日、この一行が記事に入っているか数えました。「空き家 3000万円 特別控除」で上位に出た解説記事5本のうち、書けていたのは3本。
1本には「2,000万円」という数字そのものがありませんでした。

本記事では、国税庁タックスアンサーNo.3306をもとに、この特例の記事に何を書けばよいかを解説します。

1. 実測:上位5本のうち、改正を書けていたのは3本でした

まず、どれくらい起きているのかを測りました。

調査方法:2026年8月15日に実施しています。「空き家 3000万円 特別控除 相続 売却 要件 解説」で上位に出た解説記事5本を取得しました。本文に「2,000万円」と「3人以上」の両方が書かれているかを機械的に確認しています。

確認項目書けていた記事
相続人3人以上で2,000万円になる改正5本中3本
「2,000万円」という金額そのもの5本中4本
売却代金1億円以下の要件5本中4本

1本には、「2,000万円」という数字が一度も出てきませんでした。全角・半角・「2千万」といった表記ゆれも含めて確認しています。

サイト名は伏せます。個別の事務所を評価するための調査ではありません。上位に出ている記事でも起きている、という事実だけをお伝えします。

数字は2026年8月15日時点のものです。各サイトは随時更新されます。

2. 抜けたままだと、1,000万円のズレが残ります

相続人が3人いるご家庭を想像してください。ご兄弟3人で実家を相続し、売却を検討中です。よくあるケースです。

そのご家族が「3,000万円まで控除できます」と書かれた記事を読みます。手元に残る金額の見込みが、実際と1,000万円ずれます。

問題はもう一つあります。AIがその記事を情報源として選んだ場合です。

AIは記事に書かれていないことを補ってくれません。人数の条件が書かれていなければ、条件抜きの金額がそのまま回答に使われます。記事が古いまま置かれている間、そのズレは残り続けます。

逆に言えば、この一行があるかどうかで、引用されたときの正確さが変わります。

よくある書き方

「相続した空き家を売却すると、譲渡所得から最大3,000万円を控除できます。要件を満たせば税負担を大きく抑えられます。」

→ 金額は正しいものの、誰に当てはまるかが書かれていません。読者は自分のケースを判定できません。

条件を足した書き方

「相続した空き家を売却すると、譲渡所得から最大3,000万円を控除できます。ただし2024年1月1日以後の譲渡では、取得した相続人が3人以上の場合、上限は2,000万円です(国税庁タックスアンサーNo.3306)。」

→ 足したのは一文だけです。これで、人数を条件にした質問にも答えられる記事になります。

書き足す場所にも意味があります。控除額を書いた文の直後に置いてください。章をまたいだ先に補足として置くと、条件と金額が結び付きにくくなります。

3. 国税庁が書いていること

改正の内容は、国税庁のタックスアンサーに明記されています。

「令和6年1月1日以後に行う譲渡で被相続人居住用家屋および被相続人居住用家屋の敷地等を相続または遺贈により取得した相続人の数が3人以上である場合は2,000万円までとなります」
出典:国税庁タックスアンサー No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

適用期限も、同じページに書かれています。平成28年4月1日から令和9年(2027年)12月31日までの譲渡が対象です。

譲渡の時期相続人の数控除額の上限
2023年12月31日以前問わず3,000万円
2024年1月1日以後1人・2人3,000万円
2024年1月1日以後3人以上2,000万円

4. 記事に入れる4つの要素

  1. 相続人の人数で金額が変わることを書く
    「3人以上なら2,000万円」。この一行を、控除額を書いた直後に置きます。離れた場所に補足として置くと、AIも読者も結び付けにくくなります。
  2. 売却の期限を書く
    相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までです。制度そのものの期限(2027年12月31日)とは別物なので、両方を書きます。
  3. 売却方法の要件を書く
    空き家を売れば自動的に使える制度ではありません。家屋を耐震基準に適合させて売る、家屋を取り壊して敷地だけ売る、といった方法の条件があります。売却代金1億円以下の要件も同じ場所に置きます。
  4. 出典のリンクを貼る
    国税庁タックスアンサーへのリンクを本文に入れます。名前を書くだけでなく、リンクにします。

この特例は相続税の制度ではありません。空き家を売ったときの譲渡所得(所得税・住民税)にかかる特例です。ここを取り違えている記事もあるため、冒頭で一言書いておくと親切になります。

5. 書けている記事に起きること

4つを書いた記事は、条件付きの質問に答えられる記事になります。

「相続人が3人の場合はいくらか」。「いつまでに売ればよいか」。「取り壊してから売っても使えるか」。こうした問いに、記事の中だけで答えが揃います。

AIが引用先を選ぶとき、条件まで揃っている記事のほうが使いやすくなります。読者にとっても、他のサイトを見に行く必要が減ります。

作業量としては、4つの要素を足すだけです。記事を書き直す必要はありません。

6. 診断チェックリスト

  1. 相続人3人以上で2,000万円になる改正を書いている:控除額の直後に置いているか
  2. 売却期限を書いている:相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで
  3. 制度の期限を書いている:2027年12月31日までの譲渡が対象
  4. 売却方法の要件を書いている:耐震基準への適合、取り壊し、1億円以下
  5. 国税庁へのリンクを貼っている:名前だけでなくリンクになっているか

7. よくある質問

Q. 相続人が何人いても3,000万円と書いてよいですか。

A. いいえ。2024年1月1日以後の譲渡では、相続人が3人以上の場合に2,000万円へ下がります。人数で金額が変わる旨を明記してください。

Q. この特例は相続税が安くなる制度ですか。

A. 違います。空き家を売ったときの譲渡所得(所得税・住民税)に対する特別控除です。相続税そのものを軽くする制度ではありません。

Q. 古い記事は書き直したほうがよいですか。

A. 全部を書き直す必要はありません。控除額を書いている箇所に、人数の条件を1行足すところから始めてください。

Q. この記事だけで自分のケースに適用できるか判断できますか。

A. できません。適用要件の判定や必要書類は個別の事情で変わります。実際の適用可否は税理士等の専門家にご確認ください。

※本記事は、税理士事務所・不動産関連事務所が発信する記事の書き方をAIO/LLMOの観点から解説したものであり、個別の税務相談を行うものではありません。実際の適用可否は個別事情により異なるため、国税庁等の公式情報および税理士等の専門家へのご確認をお願いいたします。
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株式会社THE WORLD のAIO/LLMOチームマネージャー。福岡・天神を拠点に、AIO/LLMO対策やAI導入支援の現場で企業のAI活用を支援。生成AI時代に「選ばれ続ける」ための実践知を発信しています。