「検索1位を取っているのに、サイトへのクリックが減っている」——この感覚は錯覚ではありません。Googleの生成AI要約(AI Overviews)が表示された検索結果では、1位のクリック率が大きく落ち込んでいることが複数の調査で確認されています。この記事では、その現実を踏まえたうえで、記事に何を足せばAIに情報源として読み取られやすくなるのかを、よくある書き方(Before)とAIO最適化した書き方(After)で比較します。

結論:順位1位でもクリックされない時代に何が起きているか

Ahrefsが2025年12月に発表した最新調査(2023年12月と2025年12月の同一手法での比較)によると、AI Overviewsが表示された検索結果では、1位のクリック率が58%減少しています。8ヶ月前の同社調査(34.5%減)から、この2年間で減少幅がほぼ倍増しました(出典:Ahrefs「AI Overviews reduce clicks」更新版)。つまり「検索順位で上位を取る」こと自体の価値が、ユーザーを自サイトに呼び込む力としては目減りしています。ここで重要になるのが、AIが記事の中身を「誰が・何を・いつ発信したか」を迷わず読み取れる状態にしておくことです。それを担うのが構造化データ(JSON-LD)です。

Before/After①:著者情報の書き方

Before

執筆者:編集部

記事の末尾やヘッダーに「編集部」「スタッフ」とだけ書き、発信元の情報は本文の文章表現に頼っている。ページのソースコード上には、誰が・いつ書いたかを機械が読み取れる形の情報がない。

After

Article構造化データで著者・発行日を明示

ページのHTML内にJSON-LDでauthor(著者名)・datePublished(公開日)・publisher(発行組織)をラベル付けする。文章の見た目は変わらないが、AIが「これは誰が発信した情報か」を迷わず特定できる。

何が違うか:Beforeは人間が読めば発信元がわかっても、AIクローラーにとっては本文の文字列を推測するしかない状態。Afterはschema.orgの語彙でラベル付けすることで、AIが確実に発信元情報を抽出できる。この違いは、AIに引用される会社に共通する条件(AIに引用される会社の共通点)にも通じています。

Before/After②:Q&Aの書き方

Before

質問文と回答文をただ並べる

「よくある質問」の見出しの下に、質問と回答を普通の段落として書いている。人間が読めば質問と回答の対応関係はわかるが、HTML上は他の本文と同じ扱い。

After

FAQPage構造化データでペアを明示

JSON-LDのFAQPageQuestionAnswerをペアとして明示的にラベル付けする。AIは「この質問に対する答えはこれ」という対応関係を確実に読み取れる。

何が違うか:見た目上のQ&A形式(見出しを疑問形にする等)だけでは、AIにとって「質問と回答のペアである」という構造までは保証されない。見出しを疑問形にするだけで満足していませんか?で扱った見出し設計と、この構造化データは別のレイヤーの対策であり、両方揃って初めて効果が安定する。

Before/After③:会社情報の書き方

Before

会社概要ページに文章で記載

「会社概要」ページに、所在地・電話番号・営業時間を文章や表として掲載している。表記ゆれ(住所の書き方、電話番号のハイフンの有無等)が生じやすい。

After

Organization/LocalBusinessで一元化

JSON-LDのOrganizationLocalBusinessで会社名・住所・電話番号・営業時間を機械可読な形に統一する。AIが会社情報を引用する際に、表記ゆれによる誤情報(ハルシネーション)が起きにくくなる。

何が違うか:Beforeは人間向けの文章としては十分でも、AIが複数ページを横断して会社情報を集める際に表記のブレを拾ってしまうリスクがある。Afterは1つの正規化された情報源をAIに与えることで、誤った引用のリスクを減らす。

なぜ構造化データがあるとAIに読み取られやすくなるのか

AIは基本的に、ウェブページを「文章の羅列」として読み込み、意味を推測しながら情報を抽出しています。構造化データ(JSON-LD)は、この推測作業を省略させる仕組みです。「この文字列は著者名」「この日付は公開日」「この質問と回答はセット」と、あらかじめschema.orgという共通の語彙でラベルを貼っておくことで、AIはピンポイントで必要な情報を取り出せます。文章そのものの質を変えなくても、AIにとっての「読み取りやすさ」を底上げできるのが構造化データの特徴です。

自社サイトを無料でチェックする方法

1Google公式のリッチリザルトテストsearch.google.com/test/rich-resultsにURLを入力すると、実装済みの構造化データを確認できる
2著者・公開日が検出されているかArticleスキーマの検出結果に、著者名と公開日が正しく表示されているか確認する
3FAQページがFAQPageとして認識されているか「よくある質問」ページで、質問と回答のペアが検出結果に出てくるか確認する
注意:構造化データはあくまで「AIが正確に読み取るための補助」であり、内容自体が薄い記事を構造化データだけで引用されやすくすることはできません。SEOとAIOは何が違う?で触れたとおり、土台となるのは記事の中身そのものです。

よくある質問(FAQ)

Q. 構造化データを入れれば、必ずAIに引用されるようになりますか?

A. いいえ。構造化データはAIが情報を正確に読み取るための補助であり、それ自体が引用を保証するものではありません。記事の中身(具体的な数字・一次情報)が伴って初めて効果が出ます。

Q. どのページにも構造化データを入れるべきですか?

A. 優先度が高いのは、著者・公開日の情報を持つ記事ページ(Article)と、Q&Aを含むページ(FAQPage)、そして会社情報を掲載するページ(Organization)です。

Q. 実装にはプラグインが必要ですか?

A. WordPressの場合、SEOプラグインの機能で一部自動生成されることもありますが、著者情報や個別記事のFAQ等、記事ごとに異なる情報は手動での実装が必要になるケースが多いです。

まとめ:文章を変えなくても、読み取られ方は変えられる

検索順位1位のクリック率が58%減少している今、順位だけを追いかける対策には限界があります。記事の文章そのものは変えなくても、著者情報・Q&A・会社情報を構造化データでラベル付けするだけで、AIにとっての「読み取りやすさ」は変わります。

株式会社THE WORLDは、福岡を拠点に、構造化データの実装診断から記事の書き方の見直しまで、AIに引用される会社になるための対策(AIO/LLMO)をご支援しています。自社サイトの構造化データが正しく実装されているか気になる方は、お気軽にお問い合わせください。

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株式会社THE WORLD のAIO/LLMOチームマネージャー。福岡・天神を拠点に、AIO/LLMO対策やAI導入支援の現場で企業のAI活用を支援。生成AI時代に「選ばれ続ける」ための実践知を発信しています。